量子コンピュータ
QUANTUM COMPUTATION
研究概要
OUTLINE

冷却中性原子による量子計算
近年、量子コンピュータの研究開発が世界中で盛んにおこなわれています。量子コンピュータの実装方式には、超伝導型やイオントラップ型など様々なものがありますが、その中でも特に急速に発展して注目を集めているのが、冷却中性原子を用いた量子コンピュータです。
私たちの研究では、光ピンセットアレイと呼ばれる手法を用いて、量子ビットとなる冷却中性原子を1つずつトラップし、配列・操作することで量子コンピュータを構築することを目指しています。
(01)
OPTICAL TWEEZER ARRAYS
光ピンセットアレイとその特徴
光ピンセットとは、
連続波レーザーを空間的に強く集光し、
その焦点近傍に冷却中性原子を
閉じ込める技術です。
この方式の大きな利点は以下の通りです。
01

高精度な量子操作
全ての量子ビットが単一原子で構成されるため、均一な性質を持ちます。更に真空中に配置されており外部環境から隔離されているため長いコヒーレンス時間も持ち、エラーの少ない量子操作が可能となります。
02

優れた拡張性
アレイ間隔が数マイクロメートル程度に配列されるため、小さな面積に多数の量子ビット配置が可能となります。また、光ピンセットを形成するレーザーパワーの増大に伴ってシステムサイズを大きくすることが可能です。
03

柔軟な接続性
音響光学素子などを用いて、原子をアレイ内で動的に移動させ、任意の量子ビット間の接続性を持つ量子回路を構築できます。
04

長距離相互作用の活用
原子の高エネルギー状態であるリドベルグ状態に励起された原子同士は、数マイクロメートル程度の距離でも強い相互作用(リドベルグ相互作用)を示します。これを用いることで、高忠実度な2量子ビットゲートや量子もつれ生成が実現されます。
(02)
WHY YTTERBIUM?
なぜイッテルビウム(Yb)か?
中性原子を用いた量子コンピューティングでは、従来 Rb(ルビジウム)や Cs(セシウム)といった1電子原子が広く用いられてきましたが、私たちの研究では、2電子原子である Yb(イッテルビウム)を採用しています。
Yb は、2つの価電子に由来するスピン一重項および三重項状態を含む豊富な内部準位構造を持つ点が大きな特徴です。特にフェルミ同位体の核スピンやボソン同位体における準安定励起状態を利用することで、磁場雑音などの外的擾乱に対する感度を抑え、1電子原子よりも格段に長いコヒーレンス時間を持った理想的な量子ビットを実現できます。また、リドベルグ状態への1光子励起による高忠実度な2量子ビットゲートや、1電子原子では高度な技術が必要とされる量子ビットの非破壊測定などが容易に実装可能です。
このように、Yb は量子状態の制御性に優れ、さらに量子ビット構成における設計自由度も高く、高精度な量子操作が求められる中性原子量子コンピューティングにおいて、極めて有力なプラットフォームといえます。
























